新潟県村上市から山形県鶴岡市にかけての日本海沿いには、朝日連峰が日本海に落ち込む山際に、美しい海岸が連なっています。その中でも笹川流れは、日本海の荒波によって浸食された眼鏡岩、恐竜岩といった奇岩や岩礁、洞窟の荒々しい光景が、美しい白砂青松の海岸をはさむように連なっています。素晴らしい海岸線の光景は、国の名勝・天然記念物に指定されているだけでなく、日本百景にも選ばれている景勝地です。そのエリアは、鳥越山から狐崎までの11kmにわたり、JR東日本羽越本線と国道345号線が海岸線沿いを走っています。

眼鏡岩、恐竜岩、蓬莱山など、日本海の荒波が造り出した自然の造形にはさまれるように、透明度の高い海と白砂の美しい海岸が笹川流れにはいくつもあります。海岸からはもちろんのこと、中心として知られる眼鏡岩海岸や、桑川駅に隣接している笹川流れ夕日会館には展望台があり、美しい日本海の絶景を堪能することができます。その眺めは、遠く水平線まで広がる青々とした日本海や、日本海に浮かぶ孤島粟島のその名のとおり粟粒のような姿を見ることができます。また美しい海と海岸は、夏には海水浴を楽しむ人たちでにぎわいます。

海岸から眺める海の情景は時を忘れさせてくれるほどの絶景ですが、自然が造り出す造形美を堪能するために、桑川港からの観光汽船に乗船しましょう。観光船の乗船時間は約40分。桑川漁港を出港すると笹川海岸に向い、海岸の向にあるニタリ岩、さらに眼鏡岩海岸から眼鏡岩、恐竜岩などの見どころをめぐり、沖へ出て笹川流れを遠望しながら港にもどります。船が港を出るとカモメたちがたくさん飛んできて、いっしょに絶景を楽しんでくれたり、餌付け体験をすることができます。

観光船が出航する桑川漁港では、地元の豊富な魚介類が水揚げされています。観光船の待合所をはじめ、地元の食事処などで、季節限定の天然カキやアワビ、ノドグロ、カレイ、イカなど新鮮な魚介類が堪能できます。笹川流れには通年営業している民宿や旅館がありますので、素晴らしい景色と共に旬の取れたて魚介類を心おきなく味わうことができます。また、新鮮な魚介類を使った干物も名物となっているので、おみやげにして旅の思い出とするのも良いでしょう。道の駅「笹川流れ夕日会館」にもレストランがあり、地元の特産品が購入できるようになっていますよ。

笹川流れのベストビューは、なんといっても日本海の海原に落ちてゆく夕日の情景です。まわりをあかね色に染めながらゆっくりと水平線に沈んでゆくその姿は、時を忘れてじっと見つめ続けてしまいます。桑川駅に隣接して道の駅にもなっている笹川流れ夕日会館には、3階のサンセット展望台と海辺の夕日デッキがあります。また観光船は月1回の予定で、日没の時間帯にあわせて出航する完全予約制の笹川流れ夕暮クルーズを行っています。あかね色に包まれながら海に沈む夕日と、夕焼けに染まる笹川流れの絶景を楽しむことができます。

夕日を堪能したあとは国道345号線を南に向かい、潮騒といっしょに温泉につかりながら寛げる湯量豊富な瀬波（せなみ）温泉に向かいましょう。瀬波温泉は歌人・与謝野晶子がその光景のすばらしさに、45首もの歌を詠んだという風光明媚な地にあります。泉温は95℃あり、別名「熱の湯」とも呼ばれているんです。海水浴場が近いこともあり、夏場には家族連れでも賑わいます。ゆったりと温泉につかって旅の疲れをいやした翌日には、城下町の風情を今も濃く残している城下町村上の観光散策や、「鮭のまち」と呼ばれるほどに豊富な鮭料理や村上牛といったグルメを楽しみましょう。

日本海の自然が造り出した素晴らしい造形美と、美しい白砂青松の海岸が連なる「笹川流れ」。沖で獲れた地元漁港で水揚げされたばかりの豊富な魚介類を味わうと共に、四季折々に様々な表情を見せる風景を楽しめるスポットです。あなたも笹川流れで、感動的な日本海の情景を心おきなく楽しんでみてはいかがでしょうか？