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紬のふるさと 結城と日本最古の絹織物「結城紬」

鎌倉時代以降、城下町として栄えた茨城県結城市。ここで製織されている結城紬(ゆうきつむぎ)は、約2000年の歴史を持つ日本最古の絹織物としてユネスコ無形文化遺産にも登録されています。その歴史と結城紬の魅力ををご紹介します!※掲載されている情報は2020年1月時点のものです。必ず事前にご確認下さい。

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このまとめ記事の目次

城下町、結城

結城は鬼怒川水運で商業都市として発展していった

結城の町を散策すると「見世蔵」とよばれる蔵造りの歴史ある建物が数多く点在し、穏やかな空気が心地よく、ゆったりとした時間が流れます。

悠々と流れる鬼怒川・田川のほとり、東に筑波山を望む結城台地は、豊かな自然に恵まれ、古代より栄えた地でした。
中世武家の時代、源頼朝の側近として活躍した結城初代朝光は、結城地方を与えられ、以後十八代にわたりこの地を治め、中世末期、徳川家康の次男である十八代秀康により新たな城下町が建設され、その町並は今に引き継がれています。
江戸時代後期になると、鬼怒川水運で江戸と結ばれた結城は、商業都市として大きく発展し、町人の高い経済力は多くの文化を育くむことになります。

長い歴史を歩んできた紬の文化

※写真はイメージです。

※写真はイメージです。

もともと鬼怒川の清流を湛えるこの地は、桑の生育に適したこともあり養蚕が盛んで、その副産物として「長幡部絁(ながはたべのあしぎぬ)」が織られるようになりました。これは太い生糸で織った絹粗布で、結城紬の原形といわれています。

やがてこの絹織物は常陸紬(ひたちつむぎ)と呼ばれるようになり、鎌倉時代には見た目が質実で丈夫なことから武士にも好まれ、産業として結城の地に根をおろしていきました。

そして、江戸時代になって「結城紬(ゆうきつむぎ)」と呼ばれるようになったといわれています。
※写真はイメージです。

※写真はイメージです。

江戸末期に取り入れられた「絣(かすり)模様」は明治時代に花開き、先人たちの創意工夫により、緻密な絣の技術はさらに進化を遂げました。
昭和31年には国重要無形文化財、昭和52年には伝統的工芸品に指定され、平成22年にはユネスコ無形文化遺産に登録されました。

日本最古の織物の技法は、今もこの地で大切に守り伝えられています。

優しくふわりとした真綿から生まれる結城紬

精緻な紬を織りだす、受継がれた伝統の技

古代の技法が受け継がれ、すべてが手作業で作られる結城紬。
その原料となるのは蚕が吐いた糸。生糸の場合は、繭から糸を引き出しますが、紬を織る糸は、繭を綿状の真綿(まわた)にしてから、手でつむぎ出して糸にするのが特徴です。
この透けるように真っ白な真綿は掌にのせるとふわふわで、まるで実存しないもののように軽く、つややかで光を放っているように見えます。
結城紬はこの真綿からつむぎ出された糸を織りあげますが、機に糸をかけるまでの道のりが長いのです。
繭から反物になるまで40数工程を経て、何人もの専門の職人たちの手がかけられていきます。
経糸を地機にかける下ごしらえがおわると、仕上がりの約九割がたは済んだともいわれるのですが、織りあげるまでさらに熟練の手業は続きます。
技の結晶である一反の結城紬が織りあがるには無地でも約一か月、亀甲柄などの精緻な絣では約1年以上もかかるものもあるのだそう!

結城紬は親子三代、 その良さは年を経るごとに増していく。

結城紬は年を重ねるほどに手触りよく、風合いを増すといわれています。
実際に150年ほど前の紬の着物を見ると、柔らかな手触りといい上品な光沢といい、少しも古びていないのが不思議なほど。手の込んだ柄が醸し出す味わいは渋く美しく、神々しくさえあります。
三代で楽しむ結城紬、といわれるのは正にこのことだと実感させられます。

「きものday結城」で街歩き

思い思いのきものを着て情緒豊かな結城市内を散策するイベント「きものday結城」は、2019年の秋で11回目を迎えました。
きものファッションショーやトークショー、抽選会、人力車乗車会、各ワークショップなど、イベントが盛りだくさん。きものを着ていると受けられる特典も!
結城紬きもののレンタルや、着付け等も行っていました。
もちろん、きものを着ていなくても参加可能。
ボランティアガイドをつけて名所を回ったり、マップ片手に気ままに散策したり、様々な楽しみ方ができますので、次回の開催もぜひチェックしてみてください。

結城紬の私設資料館

結城市では、その貴重な日本の文化を後世につなぐため、結城紬の歴史を学んだり、機織り体験などを楽しめる施設があります。

結城紬ミュージアム「つむぎの館」

「つむぎの館」は、結城紬産地問屋である奥順が運営する結城紬ミュージアム。
本場結城紬染織資料館紬「手緒里」をはじめ結城紬の展示場、紬小物やショールのショップがあり、織り体験もできます。
陳列館では、伝統的な柄から新作まで、様々な結城紬を常時200点以上の結城紬を展示。世界最高の絹織物である結城紬を身近に感じることができます。
(貸切になる場合があるため事前に問合せするのがおすすめです。)

移築された築150年の古民家内は、一歩を踏み入れると、まるで時間が巻き戻ったような感覚にもなる落ち着いた空間。
明治初期建造(国の登録有形文化財)の見世蔵を改装したギャラリー喫茶。
珈琲・お抹茶をお供に、展示している本場結城紬を眺めながら、ゆったりとした時間を過ごすことができます。

2020年現在はイベント時のみ営業(不定休)
※HPのお知らせにて確認できます
【つむぎの館概要】

開館時間
平日 10:00~16:00(入館は15:30まで)
土・日・祝 10:00~17:00(入館は16:30まで)
入場無料(資料館入館料 有料/織り体験有料、要予約)
休館日 火曜日・水曜日・年末年始(HPのお知らせ欄に記載あり)
駐車場:無料 20台収容可、大型バス可

〒307-0001 茨城県結城市結城12-2
TEL:0296-33-5633 FAX:0296-33-3116

茨城県結城市結城12-2つむぎの館併設

3.03 04

茨城県結城市結城 12−2

- 039

紬の里

はた織り体験、藍染め体験ができる「紬の里」は、結城城跡のすぐ近く、緑に囲まれた場所にあるアットホームな体験工房。
工房には織機が15台あり、様々な柄の「たて糸」がそれぞれに用意してあるので、好きな織機を選んだ後、約40色の色糸から「よこ糸」を選びます。

自分だけのオリジナルの色合いを考えるもの楽しい時間。
初めてでも、コースター(2枚1組)を30分から織る事ができます。

コースターの他にも、テーブルセンター・ショール・帯等も体験可能です!(要予約)

このほか、紬のデザインや質感を活かしたオリジナル商品が数多くあり、結城紬の販売・展示も行っています。
記念品・贈り物など別注品もオーダー可能とのこと。
【紬の里概要】

営業時間 平日 9:30~17:00 土日 10:00~16:30
定 休 日 第一・第三日曜日 祝日 お盆と年末年始
     (その他臨時休業などはブログでお知らせしています)

〒307-0001 茨城県結城市結城2515
TEL:0296-32-8002 FAX:0296-33-4125

茨城県結城市結城2515

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そのほかおすすめスポット

■本場結城紬郷土館

住所:〒307-0001 結城市結城116
TEL:0296-32-2121
営業時間:平日 9:30~17:00 土・祝 10:00~17:00
定休日:日曜

茨城県結城市結城116

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■結城つむぎセンター

住所:〒307-0008 結城市下り松6-6-3
TEL:0296-32-6088
営業時間:平日 9:30~17:30 土・日・祝祭日 9:00~18:00
定休日:無休,年末年始

茨城県結城市結城7111-1

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3.02 00
■結城市観光物産センター

住所:〒307-0051 結城市国府町1-1-1
TEL:0296-48-8155
営業時間:9:30~17:00
定休日:月曜(祝日の場合は翌日)・年末年始

古くから引き継がれる伝統の技を後世へ

先人から受け継いだ貴重な贈り物、人間の優れた技が生み出した結城紬。
かつては3万反の生産量を誇っていましたが、現在では1500反弱、20分の1ほどに減少しているのだそう。

後継者不足とあわせ、生産に欠かせない糸の不足も深刻化してきており、郵送などで糸をやりとりする「糸つむぎ」の後継者育成などもスタート。
結城紬の機織りに携われる方を対象とした「結城紬後継者育成研修」も実施予定とのこと。
作り手はもちろんのこと、私たちが足を運び、紬を見て、触って、体験して、結城紬のすばらしさを知ることもまた、伝統の継承につながるのではないでしょうか。

年を経るごとに、着こなせば着こなすほどに風合いを増す結城紬。だからこそ、なおさら未来へ向けてその存在が大きくなっていってほしい、と願わずにはいられません。

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