箱根へは小田急で一本!
シートピッチも広く、座席が少しだけ窓側に角度がついていますから通路側の人も景色を楽しむことができます。
時刻表を見ればVSEで走る列車はすぐにわかりますので、時間さえ合うのであればVSEを選択したいところです。
箱根フリーパスは小旅行に最適!
2日間用と3日間用があります。記者が購入したのは新宿発着の箱根フリーパスで5140円。
これには往復の乗車券と、箱根地区での登山鉄道、バス、ケーブルカー、ロープウェイ、観光船が乗り放題乗車券が1枚になっています。
箱根に着いたら、あとは指定された乗り物であれば定期券のように見せるだけで乗車可能です。
ただし、ロマンスカーの特急券は別途購入しなければなりません。新宿から箱根湯本までの特急券は890円です。VSEでも他の車両でも同額です。
箱根登山鉄道は鉄ちゃんでなくても魅力満点!
箱根湯本から強羅までは本当に登山鉄道です。鉄道ファンでなくてもびっくりするほどの急勾配と急カーブを体感できます。もちろん、箱根フリーパスの区間内ですからそのまま乗車してもいいですし、一度箱根湯本で下車して食事をとったり、お土産の品定めをすることも可能です。
3回のスイッチバックは圧巻!
右側の線路を登ってきた電車はこの場所で進行方向を変え、左側の線路に入りさらに「山登り」をします。
最大勾配は80パーミルです。パーミいるという単位は聞き慣れないかもしれませんが、パーセントが百分率で、パーミルは千分率のことです。つまり、80パーミルは8パーセントと同じ意味で1000分の80です。勾配を表す場合は1000メートル走ったときに80メートル登っていることを表します。この勾配は、ケーブルカーや事業用ではない鉄輪走行をする普通鉄道では日本一の勾配です。
また、2量編成や3量編成の車両がありますが、車両間の通り抜けはできません。これは、最小半径30メートルの急カーブを走行するためで、車両間の幅が一般の鉄道車両よりも長く取ってあるためです。したがって、通り抜けをしないために車両間の幌はありません。
記者は強羅駅で下車します。
天翠茶寮に到着
夕食は豪華そのもの!
夕食時間は複数から選べますので、その間は温泉に浸かるなり箱絵フリーパスで散策するなりご自由に…。
夕食は専用のダイニングで取ります。案内された席には記者のネーム入りのメニューが備え付けられていました。
前菜は最初出てきたときには、三段重箱かと思っていましたが、ガバッと開いてびっくり。お洒落すぎてのけぞってしまいました。
あとで取材目的で聞いた話では、複雑な構造のためにお手入れが大変なんだとか。
東京に戻ったあとに、英語が堪能な外国人に読んで聞かせたところだいたい理解してくれました。
この日は、メニュー以外にシークレットメニューが隠されていて、これにもびっくり。
日本料理は一品あたりの量は少ないのですが、さすがにこれだけ多くのメニューが出てくるとお腹いっぱいになります。
少し話を聞いてみました。
--外国人用の英語併記メニューがあるのは驚きでしたが日本料理が慣れない人もいるのでは?
「実はそうなんです。あらかじめお伝えいただければ対応できるのですが、例えばお刺身に火を通してくれとかですね(笑)」
--それはもったいないというか無謀というか…
「食文化の違いですから仕方がないですね。そういう場合はお刺身を炙りにします。温泉卵もボイルしてくれという要望もあります」
--確かに日本以外で生卵を食べる習慣はないですからね。料理は山のものに限ってないんですね。
「そうですね。地元のものや、近いところでは小田原のものも使いますし、今日のご飯は北海道産ななつぼしを使っています。物流が発達していますから美味しいものを厳選してご提供できればと思っています」
日本料理はどちらかと言うと薄味で味気ないと思っている方も多いと思いますが、ここの料理は味が濃いというわけではなく、じっくりとしみわたっているものばかりで、時間をかけて下ごしらえされているのがよくわかります。
部屋はすごいの一言!
竹を彫って作った「表札」があり、和の雰囲気満点です。
もちろん高速WiFiは完備していますが、ベッドルームの枕元コンセントにはUSB出力が備えられています。それも2アンペアの大容量電流が取れますので、スマホだけではなくタブレットも高速充電が可能です。
アメニティというと、女性用が注目されがちですが、男性用も充実しておりカップルでの宿泊ではついつい男性もオシャレをしたくなるような充実度です。
落とすときは白熱球のような温かみのある照明で、メイクアップ用は白色の明るいものでした。女性にはありがたい心遣いなのかもしれません。
ベッドには、ベッドスローが掛けられていますが、本物の和服の帯です。アンティーク帯を手直しした逸品で、2つと同じものはありません。
まさに、いにしえのオシャレの極致と言えるでしょう。
部屋に温泉!
強羅天翠の大浴場とは違う温泉をわざわざ運んできて全室に引いています。
江戸時代には徳川将軍家にも献上された由緒正しい名湯です。循環加温されていますので、いつでも好きなときに入ることができます。
強羅天翠の大浴場と違う温泉を使用することにより、両方を楽しんでもらおうというおもてなしだろうと感じました。
コーヒーは豆から挽く!
これを自分で挽いて入れます。好みの割合でブレンドしてもいいですし、飲み比べても構いません。
喫茶店でしか見たことがない手動の豆挽き機で自分で挽いて入れるコーヒーはまた格別。贅沢なひとときです。
朝食も豪華!
なお、朝食の前にほうじ茶が出されましたが同時に本日の一番だしが出されます。出汁を飲むわけです。これがまた美味しくて、日本料理独特の「うまみ」がじわっと体にしみわたります。
食事の途中に食後のお茶を聞かれます。記者は紅茶にしましたが、茶葉の種類を選択できるとは思いませんでした。ミルクを温めたり茶葉を用意するために先に聞いておくのだろうと思いました。
東京から近いので午後まで観光ができる!
しかし、ここは箱根。新宿まで2時間そこそこです。午後までゆっくりと観光ができます。
とうことで、天翠茶寮をチェックアウトした記者は箱根フリーパスでケーブルカーに乗ることにしました。
このケーブルカーは珍しい途中駅のあるものです。つるべ式のケーブルカーなので、上りが停車するときは下りも停車します。つまり、途中駅4駅は全て等間隔に並んでいるのです。そうしないと、どちらかが停車したときには駅ではない場所で止まることになります。
車両はスイス製でモダンな2両編成です。早雲山まで行きましたが、その先はロープウェイに乗り、芦ノ湖まで足を伸ばすことが可能です。芦ノ湖では箱根フリーパスで遊覧船に乗船することも可能です。
この日はロープウェイが工事で区間運休していて代行バスでの輸送でしたので、取材時間の関係で早雲山で折り返すことにしました。
あらためて80パーミルを見つめる
ちょうど折り返しの登山鉄道が強羅に向けて出発しているところでしたが、いきなり80パーミルの勾配になっています。
箱根湯本にはお土産や食事、休息ができる施設がたくさんありますので、帰りのロマンスカー発車時刻まで散策ができます。
帰路はMSEで直接地下鉄に入る!
あれだけ推していたVSEではなくMSEにしたのには理由があります。
この列車は地下鉄に乗り入れるのです。
記者が乗車した「メトロはこね22号」は小田急線から代々木上原駅を介して東京メトロ千代田線に乗り入れ、北千住まで走ります。
したがって、新宿には行きませんが千代田線内の停車駅で下車できるので帰宅が楽になります。
そのまま千代田線に入り表参道、霞が関、大手町と停車して北千住まで行きます。
記者は大手町で下車して、都営三田線に乗り換えて帰宅しました。
たまの贅沢にまるごと楽しんでしまおう!
記念日や自分へのご褒美にお出かけしてみてはいかがでしょうか。
取材・執筆記者 古川智規(フリーランスライター)
※写真はすべて記者撮影