“シャーロットヴィルのモンティチェロとヴァージニア大学”として1987年（昭和62年）のユネスコ世界文化遺産に登録されたシャーロットヴィル　モンティセロ（Charlottesville Monticello）は、アメリカ合衆国バージニア州シャーロッツビルに位置する標高260mの小高い山頂に建っています。アメリカ合衆国第3代大統領トーマス・ジェファーソンの旧邸宅です。

白いドームと赤れんが造りの外観が印象的なシャーロットヴィル　モンティセロは、17世紀イギリスで流行したパッラーディオ建築をモチーフに、別荘建築様式を融合させたトーマス・ジェファーソン独自の設計による私邸で、1966年（昭和41年）までアメリカ合衆国の2ドル紙幣に印刷されていたという定番スポットです。

シャーロットヴィル　モンティセロは3階建ての建物で、現在は地下にある貯蔵庫と1階部分を見学することが出来ます。庭園にはかつてジェファーソンが魚釣りをたのしんだとされる池が残されています。“モンティセロ”とは小さな山を意味するイタリア語に由来しているのだとか。

またトーマス・ジェファーソンは、大陸会議によって1776年（江戸安永4年）に採択された「アメリカ独立宣言」の起草者としても知られています。イギリス本国からの独立を目指して1775年（江戸安永4年）に始まった独立革命は、統治下にあった13の植民地の独立宣言によって終結し、市民が平等に主権をもつアメリカ合衆国が誕生しました。

アメリカ独立革命の理念を要約した全文、“全ての人間は神によって平等に造られ、不可侵不可譲である生命・自由・幸福を追求する権利を生まれつき有する”の文言は、のちの1946年（昭和21年）に公布された日本国憲法にも反映されています。

トーマス・ジェファーソンは州立ヴァージニア大学の創立者としても有名な人物で、1819年（江戸文政2年）に設立された大学の建物はシャーロットヴィル　モンティセロの一部として世界遺産となっています。シャーロットヴィルの町はこのヴァージニア大学を中心に形成された大学都市で、ランキングでもアメリカ国内で最も住みやすい都市に選ばれるほど治安が良いことで知られています。

生前のトーマス・ジェファーソンは、自身の功績としてこの大学をとても誇りに思っていたそうで、墓標には遺言通り「バージニア大学の父」の文字が刻まれています。大学は教師と学生の共同体「アカデミカル・ヴィレッジ (Academical Village)」を理念としたジェファーソン自身による設計で、ローマのパンテオン神殿がモデルといわれる建築物“ロダンダ”などが芝生広場を囲んでいます。

所在地：Charlottesville, VA 22903 U.S.A.
TEL：+1 434-924-0311
アクセス：シャーロットヴィル　モンティセロより車で15分

シャーロットヴィル　モンティセロ周辺には、手入れの行き届いた美しい庭園と果樹園が広がっています。この地はかつて大規模プランテーションの中心地でもありました。偉大な政治家であり弁護士で、優れた発明者だったトマス・ジェファーソンは、当時の奴隷制を利用して親から相続した300名前後のアフリカ系奴隷をはじめ安価な労働者を所有する農場経営者でもありました。

東京ドーム430個分に相当する2,000ヘクタールの農場で大規模な科学的農法を試みたジェファーソンは、奴隷が積極的な経済活動を行えるシステムを構築し、余暇を利用して作った生産物を買い取るなど自立的生産を支援したといわれます。アメリカ独立宣言ですべての人の自由平等を謳った大統領でしたが、自身の生活を維持するためには奴隷の労働力が不可欠だったようで、奴隷の愛人との間に子供まで設けています。

アメリカ建国の歴史にゆかりのトーマス・ジェファーソンと、その旧私邸であるシャーロットヴィル　モンティセロをご紹介しました。自由平等の理念のもと建国したアメリカですが、先住民の迫害や奴隷制廃止の遅れなど、のちに数々の問題も残りました。ヴァージニア州まではワシントンDCからもほど近く、日帰りドライブにもピッタリです。ぜひいちど足を延ばしてみてはいかがでしょう。

所在地：931 Thomas Jefferson Pkwy, Charlottesville, VA 22902 usa
TEL：+1 434-984-9800
営業時間：8:00~17:00（季節によりやや異なります）
料金：一般13ドル　こども6ドル
定休日：クリスマス
アクセス：ワシントンDCよりルート66経由で約2時間