まるでオベリスクのような外観が目を引く「トランスアメリカピラミッド（Transamerica Pyramid）」は、アメリカ合衆国カリフォルニア州のサンフランシスコにある高さ260m、46階建ての超高層ビルです。トランスアメリカ・コーポレーション（Transamerica Corporation）の本社として1969年（昭和44年）に着工し、3年後の1972年に完成しました。

トランスアメリカピラミッドはサンフランシスコの金融街「ジャクソン・スクエア（ Jackson Square）」のファイナンシャルディストリクトに建つサンフランシスコで最も高いビルで、この町のどこからでも見えるといわれるランドマークのひとつです。主に南カリフォルニア全域で400以上の公共施設を手掛けたシカゴ出身の建築家、ウイリアム・ペレイラ（William Pereira）の代表作に数えられています。

四半世紀近くも前の建物とは思えない斬新なデザインが特徴のトランスアメリカピラミッドは、ベイストリートから一直線に伸びるコロンバス通り（Columbus Av）の真正面にそびえるオフィスビルです。三角形の尖塔は高さ約65mのアルミ製で中は空洞だそうです。角度によってはタケノコか和ロウソクのようにも見える形状は、当時のサンフランシスコ市民には不評で、建設が発表されたときから激しい批判の的でした。

そんなトランスアメリカピラミッドも、今では観光客に現在地を教える人気のランドマークタワーです。このビルのオーナーだったトランスアメリカ・コーポレーションは、1999年（平成11年）にオランダのハーグに拠点を置く世界的な巨大保険会社エイゴン（AEGON N.V.）の傘下となり本社も移転していますが、ロゴは今でもトランスアメリカピラミッドのままなのだとか。

広大なアメリカ大陸を西と東に分断する母なる流れ、ミシシッピ川。竣工当時のトランスアメリカピラミッドは、それまでサンフランシスコ市内で最も高かった237mの「555 カリフォルニア・ストリート（555 California Street Building）」を抜いてミシシッピ西岸エリアで一番高い建物でしたが、その2年後にはわずか1.5mだけ高いロサンゼルスの「エーオンセンター（AON CENTRE）」に抜かれてしまいました。

ビルの高層化はどこまで進むのでしょう。それでもサンフランシスコで最も高いトランスアメリカピラミッドには、もちろん27階に展望台があり、中では18基のエレベーターが稼働しています。さぞ見晴らしが良いでしょうと思いきや、残念なことに2001年（平成13年）9月11日にニューヨークで起きてしまったアメリカ同時多発テロ事件の影響で、現在も閉鎖されたままになっています。

竣工時には“サンフランシスコのランドマーク”を標榜しながら市民に受け入れてもらえなかった巨大ピラミッドも、今では町中のどこからでも見えるランドマークタワーとして人気です。トランスアメリカピラミッドは、かつてサンフランシスコのウォーターフロントだった場所にあり、基礎工事中には沈没船の遺跡が発掘されたこともあったようです。

先鋭的な近代建築のトランスアメリカピラミッドとよく対比されるグリーンの建物は、リトルイタリーに位置する『アメリカン・ズートルペ（american Zoetrope）」です。1階の「カフェ･ズートルペ（ Cafe Zoetrope）」は、映画監督フランシス･F･コッポラ（Francis Ford Coppola）氏が所有する跡ホームなイタリアンレストランで、店内では映画の写真やポスター展示も楽しめます。

所在地：916 Kearny St, San Francisco, CA 94133
TEL：+1 415-788-7500
営業時間：11:30～22:00（曜日により異なります）
定休日：月曜
アクセス：トランスアメリカピラミッドより徒歩4分

サンフランシスコで最も高い巨大オベリスク風のオフィスビル「トランスアメリカピラミッド」と、周辺のおすすめスポットをご紹介しました。サンフランシスコへお出かけの際は、ぜひ参考になさってください。

所在地：600 Montgomery St, San Francisco, CA 94111
TEL：営業時間：8:00～17:00
アクセス：サンフランシスコ国際空港よりベイエリア（BART）高速鉄道で約38分