比良山系の大自然に囲まれた村。
比良山荘はちょうど京都と滋賀の県境付近の葛川坊村町にあり、アクセスは滋賀の堅田駅もしくは京都駅からタクシーがおすすめです。比良山系のふもとに位置しており、まわりの自然はかつて万葉集で歌われたほどの美しさ。この山々で取れた恵みを、比良山荘では存分に味わうことができます。
山の辺料理と題して、季節ごとの山の恵みが味わえます。この日は松の内の期間だったので盛り付けも正月用に。先付けは富士山からの初日の出をイメージされており、めでたさが感じられます。梅干しの蜜煮、鯛の子と川エビ、松葉に刺された黒豆と銀杏、鮎のなれ鮨、大根の粕漬け、松茸の旨煮など、この土地ならでは素材を使って祝いの席が表現されています。
続いてイワナと鯉の刺身。川魚は海の魚と違い、生きたまま捌くのが基本。だからこそ食材との距離が近いほど、鮮度も高く、味も抜群です。鯉は店の生け簀で約半年間泳がせているのが特徴。お昼のお客様と夕方のお客様の注文に合わせて捌くそうで、比良山荘の鯉は洗いにせずそのままで。プリプリの食感を持つ冬の鯉の味を楽しむことができます。
メインディッシュは、月鍋。比良山荘では熊を使った鍋は伝統的なジビエ料理として食べられてきましたが、表メニューとして出したのはおよそ20年前からだとか。裏メニューとしてこっそりだしていたものを、地元の猟師さんと二人三脚で、メニューとして出せるように狩猟から解体までのルートを作ったのだそうです。皮下脂肪たっぷりの熊肉を醤油ベースの甘みのある出汁でしゃぶしゃぶ風に味わう熊肉は、甘く、柔らかく、絶品です。鍋は店主が目の前で火を通して最高のタイミングでいただくことができます。
こちらは猪鍋。この日は200キロ級の猪が手に入ったのだそうで、熊とはまた違う肉質を楽しめました。月鍋に味噌を加えてまた違う味でいただく猪肉は、格別です。鹿1000頭に対して、猪は100頭、熊は1頭と呼ばれるぐらい猪と熊は貴重な食材。そんな2種類の肉を食べ比べできるので、箸が止まらないこと間違いないです。
山の恵みに舌鼓を打ったあとは、大自然を肌で感じてみては。
山の辺料理を堪能した後は、近くの集落の散策もぜひ。昔ながらの家屋が軒を連ね、中には1000年以上もの間、この地を守り続ける家も。また、比良山荘の前の通りを進むと、地主神社や千日回峰行の最終地点である明王院があります。