個性
東十条駅南口すぐのところにある蕎麦屋さん。木目を基調とした高級感のある内装でミシェランビブグルマンに9年連続で掲載された実績も持つ。店主は駒入「小松庵」で基礎を身につけた後、茨城「慈久庵」で栽培や蕎麦打ちの基礎を学んだ。現在も北は北海道から南は宮古島まで農家に直接足を運び畑で汗を流している。毎日20種類以上の産地の実の状態を見極め、挽き方を変え、打ち分けた蕎麦はそれぞれの個性の違いをより一層分かりやすく伝えてくれる。
◆場所
東十条駅から徒歩2分
◆営業時間
【ランチ】11:45~14:30(L.O.14:00)
【ディナー】18:00~21:00(L.O.20:00)
※火〜水はランチのみ
※祝日は12:00~15:30(L.O.15:00)
◆定休日
日曜日、月曜日
◆混雑状況
休日の昼に足を運びました。
開店15分後に来店しましたが満席で30分ほど待ちました。1周目を逃すと、飲みの席になってしまい中々席が空かないのでなるべく1周目を目指した方が良いでしょう。
◆本日は【三種酒肴】(¥1300)+【三種せいろ天ぷら付き】(¥3150)を注文。
店内は木目を基調とした高級感のある空間が広がっている。通常のメニューの他に、紙で貼られたおすすめのメニューもある。三種のせいろが一番人気のよう。
まずは昼のみ提供している『三種酒肴』から。三種酒肴といいつつも、浸し豆、豆腐、鴨ロース、だし巻き卵、ポテトサラダと5点もついている。
豆腐は「大豆の味がしっかりしているので塩でそのまま食べてください」とお達しがあった。気になって最初に口にしてみると、豆腐の概念が覆る滑らかさ。そのまま食べても大豆本来の甘みを感じられる。
続いてだし巻き卵は、端っこが“かまぼこ”のような食感を持ちつつも、ひんやりとした出汁と卵の食感が渾然一体となる。何やらネギのような緑色の野菜も卵と一緒の含まれているようだ。
鴨ロースはフォアグラのようにローストされた見た目で、とにかく弾力が凄まじい。マスタードの酸味と合わさると臭みがないのに後味に鴨のクセをしっかりと堪能できる。つけ合わせの小松菜もしっかり出汁が染みていて美味しい。
ポテトサラダは滑らかな口溶けながら、マヨネーズが甘く感じる。こんなに美味しいポテトサラダは初めて食べたかもしれない。豆もサクサクだった。
期待が高まったところで蕎麦へ。
蕎麦は運ばれてくるのが早く、1品目の蕎麦を食べ終えたタイミングで3品目を作り出すようだ。
①長野県入野谷在来
少し鼻に近づけただけで蕎麦の実の香りが花のようにぶわっと全体に広がる。そのまま蕎麦を口にしても甘さを十分すぎるくらいに感じられる。塩にもこだわりがあるようで、全体的にはかなりしょっぱいのだが、舌にしょっぱさが伝わるまでにラグがあるので蕎麦の風味を感じた後に塩っけを上手に感じられるようだ。
②新潟県妙高関山在来
蕎麦が細く、箸で取るとねっとりとした触り心地。香りは蕎麦の実によりフォーカスした味わいだった。食べてみると奥行きがあり、最初ではなく後からアプローチしてくるような蕎麦で、こちらも入野谷在来ほどではないが甘さがありバランスが取れていた。
③長崎五島在来
大森町「もりいろ」で食べた華やかな香りの五島列島の蕎麦の実の印象を強く持っていたが挽き方が異なるようで初動は匂いはほぼなし。蕎麦の殻も他の2品と比べてそんなに含まれていないようだ。つるりとしたのどごしで噛むたびに甘みが徐々に花開く。順応型のよいで食べていくとどんどん甘く感じ、慣れてくると香りがわかるようになってく。
最後に天麩羅。衣の油もほどほどにありつつも野菜の甘さをしっかりと味わせていただけるような天麩羅でサクサクとした”ズッキーニ“、甘さが浮き出るような“にんじん”、しっとりとした“じゃがいも”、とろりとした中身が舌鼓を打つ“オクラ”とバラエティー。最後に海老はもっちりとしつつも海老の果肉も十分にある迫力満点の海老だった。
3種せいろのみでも満足できると思うし、少しお金を出しても良いものが食べたいという人に特におすすめのお店でした。